VISA・Masterのオーソリ短縮で予約販売はどうなる? Shopifyは「そもそも仕組みが違う」話
予約販売をやっている店舗さん界隈が、ちょっとざわついています。
きっかけは、VISA・Mastercardの規約改定でオーソリ(与信)の保持期間が短くなる方向、という話。「出荷まで枠を押さえておく」やり方でやってきたお店にとっては、地味に効くニュースです。
これを見て「うちの予約販売、大丈夫かな…」と不安になった方に、先に結論から言っておきます。
Shopifyの予約販売は、そもそもオーソリの保持期間に頼っていません。だから今回の騒動の、わりと外側にいます。でも、それ以外のカートシステムでは結構大きな問題になってるパターンもあるので、shopify勢の方は安心。それ以外の方は別の方法としてこの記事を読んでください!
なぜそう言い切れるのか。順番に切り分けていきます。
目次
そもそも予約販売には「3つの方式」がある
ひとくちに予約販売と言っても、お金をいつ取るかで3方式に分かれます。
- 先払い… 注文時に全額決済する
- 後払い… 出荷のタイミングで決済する
- 頭金 + 残金… 一部を先に取り、残りは後で
今回ざわついているのは、このうちの「後払い」だけです。 先払いは、注文時にもう決済が終わっているので無関係。
オーソリの保持期間なんて、そもそも関係ありません。頭金+残金については後半で触れます(ここが地味においしい話なので、あとで回収します)。
なぜ「後払い」だけが直撃するのか
後払いのやり方は、ざっくり言うと「枠を押さえて、出荷時に課金」です。
- 注文が入ったら、オーソリ(与信)でカードの利用枠を確保する
- ただしこの「押さえ」には期限がある
- 期限内に出荷して課金できないと、枠が消える
これ、要は「取り置き予約」なんですね。「この分、確保しておいてください」とお願いして、期限が来たら解除される。
予約販売って、長納期のものほどおいしいわけですが、そこが弱点にもなります。3ヶ月先に出荷する商品なのに、枠は数日で切れる。だからそこまでしか予約販売の期限を延ばせないか、期限が来るたびに「押さえ直し」をする必要が出てきます。
今回の規約短縮は、まさにこの従来オーソリ方式を使っていた予約販売の「期間」が大幅に短縮される話、従来は60-90日程度の長さを持っていた決済会社が多いのですが、規約の改定で25日以内までしか対応できなくなりました。
3か月先の出荷品を予約販売している業者には大打撃な改定となるわけです。

クレジットカード業界は不正利用の増加などもあり、今後も規約の改定などは増えていくものと思うので、常に意識しておきましょう。いくつか「これがダメなら、これもあるな」と代替え案を持っておくことは大事です
村田 響介
ここが核心:「オーソリ方式」と「Vault方式」は別物
さて、本題。
決済まわりには、大きく2つのやり方があります。その2つを比較することで、shopifyはそもそもこの問題とは無縁の世界にあったことがわかります。
実はshopifyばっかりやる弊社は結構気づくの遅かったです。だって影響がないので・・・
オーソリ方式:枠を「予約」して保持する
今回の規約改定で大騒ぎになっている、界隈の目玉はこちらの方式を採用した予約販売
- 与信でカードの利用枠を確保する(決済はまだ)
- その保持には期限がある ← **今回の規約改定で縮む部分
- 期限が来たら、もう一度オーソリを取り直す
さっきの「取り置き予約」がこれです。期限で解除されるのが宿命。
再オーソリと言う方式で期限の延長も出来るサービスなどもありますが、90日の物を延長して90日なら180日に延長する場合でも1回だけの再オーソリですが、25日短縮すると6回再オーソリです。あまり現実的な感じはしませんよね。
Vault方式:カード情報を「金庫」に保存する
shopifyはこちらの予約方式を採用しているから、今回の騒動でダメージがありません。その方式とは
- カード情報をトークン化して、安全な形で保管しておく
- 枠は押さえない。だから「オーソリの保持期間」という概念に縛られない
- 出荷のタイミングで、保存した情報を使って改めて決済する
こっちは「取り置き」ではなく「支払い情報を預かっておく」イメージ。期限で解除される、というのがそもそも無いんです。
時間軸で並べると分かりやすいです。
オーソリ方式は途中に「期限」という壁があって、出荷までに切れると押さえ直し。Vault方式は壁が無いので、いつ出荷しても決済できる。
Shopifyの予約アプリは「Vault方式」
Shopify Payments のオーソリ保持期間は、もともと短めです(おおむね7日程度。ゲートウェイや地域で差があるので、ここも各自ご確認を)。
要するに、最初から長期の押さえには使えない設計なんですね。
だからShopifyの予約販売アプリは、長期オーソリに頼らず、出荷時に決済するVault方式で予約を実現しています。
結論、こうなります。
オーソリの保持期間が縮んでも、Shopifyの予約はそもそもオーソリ期間を当てにしていない。だから影響を受けにくい。
「対策で慌てて何かする」というより、「もともとの作りが今回の話に強かった」というのが正確な言い方です。
Vaultなら「頭金 + 残金」もできる
おまけ的な感じなんですがVault方式のいいところは、これができることです。
- 予約時:頭金を即時決済する(お客さんの本気度も確認できる)
- 保管:残りの支払い情報をVaultに保存しておく
- 出荷時:残金をVaultから課金する
決済の権利を得ている状態なので先に頭金の受付が可能です。
頭金で「取りっぱぐれ」の一部を先に確保しつつ、残金はオーソリ期間に縛られず出荷時に回収できる。高単価・長納期の予約と、けっこう相性がいい組み合わせです。
いいことばかりじゃない:後払い(Vault)の弱点
ここまで読むと「じゃあ後払いにしとけば安心じゃん」と思うかもしれませんが、そんな都合のいい話はありません。ちゃんと弱点も書きます。
後払い(Vault)の弱点
一番注意しなくてはいけないのは「課金時に落ちることがある」この点ではないでしょうか?
オーソリ方式はお客さんが予約をしたときに「限度額」の中からしっかりと枠を押さえます。
ちょっと図を見てください。

予約販売は注文を受けてから出荷までの間にお客様側に何かしら動きと言う物があります。
特に多いのはカードをたくさん使ったあとの「限度額」をどこまで使っているのか?と言う問題です。
オーソリの場合は上記の図のように、オーソリした時点で限度額の中から決済金額の枠を押さえます。つまりカードが停止でもしてない限りは基本的には決済が通る仕組みになっています。
一方でVault方式の場合は「決済をする権利を取得」するだけであって、実際に決済をする枠を押さえにはいきません。
こちらも図を見てみるとこうなります。

先ほども書いたように、お客様側には予約から出荷までの間に何かしらのイベントがあるわけです。
限度額を押させているわけではないので、いざ出荷だ!課金するぞ!!となった瞬間に、この決済が通らないことがあります。
つまり在庫は確保して、お客さんには約束済み。なのにお金は未確定。
お店側が悪いわけではないのですが、カードが落ちなかったことの連絡やキャンセルなどの手間が発生することはこのVault方式の方が多く発生します。
出荷前に気づけるとは思いますが売れると思ってた物が売れないので、そのダメージはまるっと店側に残ります。
カードの有効期限切れもたまに発生しますね。カード更新情報を自動反映するAccount Updater的な仕組みもありますが、万能ではありません。過信は禁物。
これを何かに例えるなら、後払いは居酒屋のツケです。「あとで払うね」で店は信用してくれるけど、いざ回収に行ったら財布が空っぽかもしれない。
オーソリはその場で財布の中身を見せて取り置きしてもらう感じ。安心度が違うんですね。
今の時代はどれがいいの?
では、実際にECサイト運営をするうえで、こういった予約販売はどの決済方式を採用すると良いのか?
結論としては方式よりも「商材で決める」のが良いとは思います。
先にも言った通り、予約販売には3通りの方式があります。
| 方式 | 向いてる狙い | 相性の良い商材 |
| 先払い | 完売リスクを避けたい商品/信頼あるブランド | 定番の再販や限定品の販売。 |
| 後払い | 買う心理的ハードルを下げたい商品 | 長納期の受注 |
| 頭金 + 残金 | 本気度を確認しつつ折衷したい | 受注生産や高額オーダー品 |
先払いが成立する商品はお店側の責任はもちろん大きくなりますが、金銭面ではキャッシュフロー的にも安心できるのでお勧めです!
ただし、先払いは「信用」があって成り立つ方式でもあります。ある程度ブランド力や歴史があって成り立つ方式だと思います。
後払い形式はここで従来のオーソリ方式が急速に難しくなっているわけですが、Vault方式ならまだやれます。
ただし、オーソリ方式よりかは言い方は悪いですがとりっぱぐれる率は少し上がります。
そこで第3の軸として頭金方式があると考えてもいいかもしれませんね。
まとめ
今回の騒動は「オーソリ方式」の話。
枠の保持期間が縮む = 取り置き予約が弱る、ということがまず第一に界隈のざわめきです
Shopifyの予約はVault方式で、出荷時に決済する。オーソリ期間に縛られないから、騒動の外側にいる
予約の3方式は商材で選ぶ。そして、どれにも弱点はある。
ご自身のビジネスに合う型を選ぶのが何より大事です!